シェイクスピアのリチャード3世・ヘンリー6世を本場イギリスで観てきたのでその感想 ☆3

劇場の良さ:☆5

自分のことしか頭にない貴族◯ねと思う回数:☆5

リチャード3世の非リア感:☆4(ただし実際の芝居はキリッとした顔の女性が好演)

演出:☆4

長さ:☆2(長い)

 

シェイクスピアグローブ座劇場という、こじんまりとした非常にいい劇場で観劇。

中はキャパ200〜300くらい? なんと照明のほとんどがろうそく! 非常に雰囲気良く、中の作りも木でできており手作り感のある劇場でとてもワクワクしました。かしこまった劇場、ではまったくなく、夜にひっそりと村の人たちで集まって観る、という感じ。こうしたワクワク感というのは演劇の良さだよなと実感しました。

 

台本は、リチャード3世とその前日譚であるヘンリー6世。2本観てきました。

これはイギリスの薔薇戦争(1455年〜)という30年以上にわたるしょうもない内紛をもとに描いた作品です。

 

リチャード3世は、主人公の名前がそのままタイトルになっているのですが、このリチャードがまあ非リア。開幕早々「自分はブサイクで足が悪くて世界に対して絶望しているから復讐してやる」とアクセル全開でかます主人公です。この悪役(劇では最終的に倒されてヒーローが勝って終わる)をあえて主人公に据えているところが面白いですよね。

実際の芝居では女性がキャスティングされており、パワフルでかっこいいリチャード3世を好演していました。

 

ヘンリー6世は、その前日譚となる群像劇。ランカスター家とヨーク家が血みどろの権力闘争をする様を描いた作品なのですが、もう本当に貴族が嫌いになる。揃いも揃って全員自分の私利私欲しか考えておらず、まあ裏切りの嵐。

あと、全員性格すごく悪そう。愛とか平和とか全く信じていなさそう。劇中で唯一人、ヘンリー6世だけはいい人。だけどシェイクスピアも本当に性格の悪い作劇をしていて、劇中で盲目の人間の目が見えるようになったという奇跡を聞くシーンがあるのですが、ヘンリー6世は無邪気に凄いと思っている一方でヨーク公は疑っていて、結果ペテン師だったとわかります。こういうところからも本当に嫌味な作品であることがわかりますよね…。

 

リチャード3世の方が有名ですが、個人的にはヘンリー6世の方が面白かったかな。